感想

芸術の境界――赤瀬川原平とマルセルデュシャン

昔アメブロにも同じようなものを上げた気がするが、せっかくなのでここにも載せておく。芸術作品の話だ。斜に構えた人の中には美術館に展示されることが芸術の条件だと言う人もいて、その言葉には確かに一定の説得力があるのだが、ここではもう少し素直に芸…

昨日を懐かしむように、一瞬を慈しむように――三上小又『ゆゆ式』感想

三上小又作、2009年より芳文社にて刊行。掲載誌はまんがタイムきららなど。 いかに時間の流れを堰き止めるかが重要な作品は多い。いわゆるサザエさん時空というやつで、商業的な要請の側面が大きいとはいえ、読者、視聴者もまた、しばしばそれを望んでいる。…

トム・ウェッセルマン「浴槽コラージュ#2」に関して

トム・ウェッセルマンの「浴槽コラージュ#2」は1960年代当時の若い女性の水浴を題材とした、半立体絵画ともいうべき作品である。縦122.0cm、横185.5cm、厚さ16.5cmの板の上で、油彩とコラージュの手法が組み合わされている(*1)。

大量死の時代と英雄の空虚――山田風太郎に関して

以下、大学で出した小レポートを少し感想文に寄せたもの。笠井潔さんの本は本当に便利なので、現代文学について何か書かんといかん大学生は是非読もう。 山田風太郎は1922年、兵庫に生まれた。彼の職業作家としての出発点は戦後にあるが、青年期を戦時に過ご…

批評と相対化の先――舞城王太郎『煙か土か食い物』感想

『煙か土か食い物』は2001年に第19回メフィスト賞を受賞し、講談社より刊行された舞城王太郎のデビュー作である。メフィスト賞は持ち込み原稿の仕組みを賞の制度として整えたもので、この受賞作および受賞者は「メフィスト系」と呼ばれて新本格ミステリ後の…

知らずにいること、盲目であること

「成るべく苦痛の少い手軽な方法で盲目になろうと思い試みに針を以て左の黒眼を突いてみた黒眼を狙って突き入れるのはむずかしいようだけれども白眼の所は堅くて針が這入らないが黒眼は柔かい二三度突くと巧い工合にずぶと二分程這入ったと思ったら忽ち眼球…